パートの雇用保険

パートの要件

 次の要件を満たす者は、年齢と週所定労働時間に応じて、下表「◆被保険者区分」のとおりとなる。

(1) 反復継続して就労する者であること。具体的には、1年以上引き続き雇用されることが見込まれること
(2) 週の所定労働時間が20時間以上であること

 なお、被保険者とならないのは5人未満の農林水産の個人事業所に雇用される者のほか、

(1) 65歳以上で新たに雇用される者
(2) 週所定労働時間が20時間未満の短時間就労者
(3) 4か月以内の季節的事業に雇用される者
 などである。

被保険者区分

週所定
労働時間
年齢
65歳未満 65歳以上(※注)
30時間以上 一般被保険者 高年齢継続被保険者
30時間未満 短時間労働被保険者 高年齢短時間被保険者

(※注) 65歳に達する前から同一の事業主に雇用されていた者に限る。

受給資格

 一般被保険者(週所定労働時間が30時間以上)の場合は離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上(1か月に働いた日が14日以上の月があること)、短時間被保険者(週所定労働時間が20時間以上30時間未満)の場合は離職の日以前2年間に賃金支払い基礎日数11日以上の月が12か月以上必要。

基本手当の受給手続等

 基本手当を受給するには、公共職業安定所(ハローワーク)に離職票を提出し求職の申込をしなければならない。これにより受給資格が決定され、受給資格者証が交付される。受給資格者証には、支給される基本手当の日額、所定給付日数、失業の認定日などが記されている。失業の認定は原則として4週間に1回ずつ行われ、その期間について基本手当が受給できる。

事業主が離職票を交付しない場合

 被保険者の本人の請求により資格喪失の確認ができるので、事業主への在籍を証明するもの[給与明細(6か月以上)/健康保険証/社員証/源泉徴収票など、あるものはすべて]と印鑑を持って、事業所所在地を管轄するハローワークへ。

遡及加入と手続拒否

 加入してなかった時は、2年間の遡及加入ができる。(会社が手続を拒否した時は、自分で最寄の公共職業安定所(ハローワーク)に事情を申し出て手続をすることもできる。)会社の手続きミスによって時効2年による未加入期間が生じた場合、基本手当受給日数等で将来的に不利益とならないよう注意が必要。

退職事由による給付の制限

 給付に当たっては、受給資格決定の日から7日の待期期間が設けられ、重責解雇や正当な理由のない自己都合退職等の離職の場合は、3か月の給付制限が行われる。しかし、その離職が真にやむを得ないものである事が客観的に認められる場合(下記の「◆特定受給資格者の該当者」を参照)や特定受給資格者については、給付制限はない。
 また、受給資格者が正当な理由なく、職業安定所の紹介する職業に就くことまたは指示した公共職業訓練等を拒否したときは、その日から1か月間は基本手当が支給されない。再就職を促進するために必要な職業指導を拒否したときも、その日から1か月を超えない範囲内で基本手当が支給されない。

基本手当の所定給付日数

(1) 一般の離職者(下記の(2)及び(3)以外の理由の全ての離職者。定年退職者や自己都合で離職した者。)

  被保険者であった期間
  5年未満 5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
5年以上
20年以上
一般被保険者 90日 90日 120日 150日

(2) 倒産、解雇等により、再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた者(特定受給資格者)

  被保険者であった期間
  1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上
35歳未満
90日 90日 180日 210日 240日
35歳以上
45歳未満
90日 90日 180日 240日 270日
45歳以上
60歳未満
90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上
65歳未満
90日 150日 180日 210日 240日

(3) 障害者等の就職困難者

被保険者であった期間
  1年未満 1年以上
45歳未満 150日 300日
45〜65歳未満 150日 360日

2003年5月1日より施行

特定受給資格者の該当者

「倒産」等により離職した者

(1) 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止)に伴い離職した者。
(2) 事業所の縮小又は廃止に伴い離職した者。
(3) 事業所の移転により通勤困難となったことにより離職した者。

「解雇」等により離職した者

(1) 解雇(重責解雇を除く)により退職した者。
(2) 実際の労働条件が採用時に示された条件と著しく相違していたことにより退職した者。
(3) 継続して2か月以上にわたり、賃金の一定割合以上が支払われなかったことにより退職した者。
(4) 賃金が、その者に支払われていた賃金に比べて一定程度未満に低下したため退職した者。
(低下の事実が予見困難なものに限る。定年後の賃金低下などは対象外。)
(5) 離職の直前3か月間に、労働基準法上に基づき定める基準を超えて残業が行われたため、又は生命・身体に重大な影響を及ぼす法令違反等について行政機関から指摘を受けたにもかかわらず、事業所において改善が行われなかったため退職した者。
(6) 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため、雇用契約の終了を余儀なくされた者。
(7) 期間の定めのある雇用契約が反復された場合であって、当該雇用契約が更新されないことが予期できない事態と同視しうる状態(一定期間以上、反復された雇用契約が継続した場合)で、雇用契約が更新されないことにより、退職した者。
(8) 上司、同僚等から故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって退職した者。
(9) 事業主から直接若しくは関節に退職することを勧奨されたことにより退職した者。(従来から設けられている「早期退職者優遇制度」等に応募して退職した場合は、これに該当しない。)
(10) 全日休業により、3か月以上連続して労働基準法上の休業手当が支給されたことにより退職した者。
(11) 事業主の事業内容自体が法令に違反するに至ったため退職した者。