解雇

法令違反の解雇は無効

 以下の解雇は法令で禁止され、無効となる。

(1) 国籍、信条又は社会的身分を理由とする解雇(労基法3条)
(2) 制限期間中の解雇(労基法19条)
1) 業務上の傷病のため療養する期間及びその後30日間
2) 産前産後の休業期間及びその後30日間
(3) 労働基準監督機関への申告を理由とする解雇その他の不利益な取扱い(労基法104条、労働安全衛生法97条、賃確法14条、じん肺法43条の2)
(4) 女子労働者の結婚、妊娠、出産又は産休を理由とする解雇(雇用機会均等法8条)
(5) 育児・介護休業の申出又は育児・介護休業をしたことを理由とする解雇(育児・介護休業法10条・16条)
(6) 労働組合活動を理由とする解雇=不当労働行為(労組法7条)
(7) 労働協約、就業規則に違反する解雇
(8) 信義則・権利の濫用・公序良俗に反する解雇(民法1、90条)

整理解雇の4要件

○整理解雇の必要性 会社の維持・存続を図るために人員整理が必要で、かつ最も有効な手段であること。
○解雇回避の努力 新規採用の中止、希望退職の募集、一時帰休の実施などの努力をした上での解雇なのか?
○整理基準と人選の合理性 整理基準が合理的・公平なもので、そのすすめかたも合理的・公平であること。
○労働者との協議 解雇の必要性、規模・方法・基準などについて十分説明し、納得を得られるように努力したか?

予告と手当の支払

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合には、
(1) 少なくとも30日前にその予告をしなければならない。
(2) 30日前に予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金=解雇予告手当を支払わなければならない。なお、1日について平均賃金を支払った場合には、その日数を短縮することができる(たとえば、20日前に予告し10日分以上の平均賃金を支払う)。

 ただし、上記の手続きを踏んだだけでは、解雇は自由に行えず、解雇の正当かつ合理的理由を明らかにしなければならない。

 裁判上は労基法第114条による付加金と判決決定の翌日から法定利率による遅延損害金の請求もできる。

解雇予告の例外

 上記の制限・手続きは、
(1) 日々雇い入れられる者
(2) 2か月以内の期間を定めて使用される者
(3) 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
(4) 試の使用期間中の者
 については適用されない。ただし、(1)については1か月を、(2)(3)については所定の期間を、(4)については14日を超えて、引き続き使用されるに至った場合は、適用されることになる。

解雇予告除外認定

 天災事変その他やむを得ない事由により、事業の継続が不可能となった場合及び労働者の責に帰すべき事由により解雇する場合には、その事由について労基署の認定を受けて、予告なしに解雇することができる。なお、両者の取扱いについての認定基準が定められている。

パートアルバイト等、有期労働契約者の雇止め

 パートタイマー、契約社員、嘱託、臨時社員、アルバイトであっても、労働契約の反復更新により実質的に期間の定めのない労働契約となっている場合には、労基法20条が適用される。
 契約が更新により1年を超えている場合で、当該労働契約を更新せず期間満了により終了させる場合(いわゆる雇止め)は、30日前の予告をするよう、また、理由を告知するよう基準が定められている。

不当な解雇には

 解雇通告に納得がいかない場合、まず、
(1) 解雇理由を文書などで明らかにさせる
(2) 口頭か文書で、解雇は了解できない旨を通告する
(3) 解雇予告手当を一方的に支払ってきた場合でも、給料分として受領した旨を明示しておく
 必要がある。その上で解雇の不当性を主張し、労働基準監督署か裁判所に申し立てることになるが、裁判には時間と費用を要するので、できるだけ早い時期に労働組合が介在して経営側と交渉することが望ましい。

罰則

 労基法 3、19条、20条、104条違反は6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金。
 労組法第7条違反は1年以下の禁固、若しくは10万円以下の罰金。