岩手大学との提携講座 沖縄大学・春田吉備彦教授が講演

2019年7月9日

〈第12回〉

  7月4日の提携講座では、「駐留軍等労働者にかかわる労働法上の課題」をテーマに、沖縄大学の春田吉備彦教授が特別講演を行いました。

 受講した学生からは「考えさせられた」「やっぱり沖縄のことを他人事と思っていたと反省した」といった感想が寄せられました。

 春田教授は、「前提知識」として学生に「条約は憲法以外の国内法に優先する」ことから、憲法と国内法(例:刑法、民法など)の間に日米安保条約(日米地位協定を含め)が存在し、その後の最高裁判断によって、事実上日本国憲法の上に日米地位協定があるという特殊な状況を整理・説明しました。そして進駐軍時代から「基地内は米国領土で、ブラックボックス」と指摘しました。

 春田教授によれば、基地労働者の法的関係は、「雇用者(派遣元)」「使用者(派遣先)」「労働者」の三者間契約であり、労働者派遣にかなり近いということでした。また、防衛省等が「雇用者」として募集し給料を払い、基地に派遣するが、身分は国家公務員ではないという矛盾をあげました。もっとも、全国10の都府県にある米軍基地(軍施設や遊技場、飲食店など)で働く基地労働者は、正社員で、同じ仕事を定年まで続けることができ、午後4時台に帰宅できるなど「若い世代には魅力的な職場」であることも紹介しました。一方で、処遇に関しては日本の法律が適用されず「36協定を締結せずに残業させる」「理由がよくわからない懲戒(制裁)解雇がしばしば行われる」などの問題があっても、厚生労働省も防衛省も基地に立ち入りできず、米軍の権力が強い現実についても語りました。

 春田さんは本土出身で、沖縄の狭い県土に4部隊(米陸軍・海軍・空軍・海兵隊)が駐留し、基地被害が多発するという現実を見て、「やはり厳しい」と実感したことも述べました。本土の基地が1部隊の駐留であり、共存の雰囲気を感じるところも多いが、沖縄がそうできない事情も、事故例などをあげて丁寧に説明しました。世界的には、米軍駐留が多いのは日本・ドイツ・イタリアであるが、「ドイツやイタリアにおいてはその国内法が適用され、基地立入権が保障されている。日本も地位協定の見直しを通じて同様に主権を回復すべきである」と結びました。

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米軍基地労働者の三者間契約を解説する春田教授