岩手大学との提携講座 第10回・第11回

2019年7月2日

〈第10回〉

 6月20日の提携講座では、「情報流通・サービス産業における労働組合の取り組み」をテーマに、連合岩手・熊谷洋一執行委員(日本郵政グループ労組東北地方本部岩手連絡協議会議長)が講義しました。

 最初に、熊谷さんが働き始めてからも何度となく名称が変わったという郵便事業の経緯について説明しました。そして、誕生した日本郵政グループ労働組合(JP労組)は国内最大の単一組織だと紹介しました。

 その一方で熊谷さんは、「郵便物や窓口来客数の減少」や「労働者の約半数が月給制(契約社員)・時給制で働く仲間であり、処遇改善の取り組みを積極的に行っていること」「民営化した郵政事業の特性として、公共性と事業性の相反する課題の追求が課せられていること」などの課題に直面していることを正直に語りました。

 学生からは、「雇用形態がいろいろあって、交渉も大変そう」という感想がありました。河合准教授からも「住居手当を削って、月給制・時給制社員の給与原資に当てるということがあったが、反発はありませんでしたか」と質問がありました。熊谷さんは、「一言での説明は難しいが、合理的でない処遇差などの手当を洗い出し、均等・均衡処遇の実現を追求しながら全体の底上げをすることを基本に、社会や環境の変化にもあわせた形に再編成する視点と、持続性を確保する視点に立ち、見直しを判断した。組合員からの反発もありましたが、生活に与える影響への緩和策(経過措置)を付随したこと、『今後更なる処遇の向上を図っていく方針』について組合員へ説明を行った経緯があって、何とか理解を得ました。大きな組織において多様化する組合員ニーズを包摂していくためには、多方面から考える重要性と判断が必要」と述べられました。

交渉の難しさを語る熊谷さん

非正規の処遇改善の取り組みを語る熊谷さん

 

 

 

 

 

 

 

〈第11回〉

 6月27日の講座では、「労働組合の助け合い・支え合い事業」をテーマに、東北労働金庫の菅原芳勝岩手県本部副本部長と、こくみん共済coop(全労済)の赤坂徹岩手推進本部事務局長が講義しました。

 菅原副本部長は、戦後の貧しい労働者にお金を貸してくれるところがなかったことから、労働組合が中心となって、今の労働金庫につながる組織ができたことを話し、国際的にもこのような組織は他国に無く、過去に来日した「ILO視察団」の驚きを込めたコメントを引用して学生に紹介しました。またATM「手数料0円」は、利用者のニーズに応えたもので、口座はどなたでも作れるとお勧めしました。

 赤坂事務局長からは、この6月から愛称を「こくみん共済coop」として、みんなのために、たすけあいの共済制度を協同組合が提供する組織を表していることが紹介されました。

また、協同組合は、自主的に集まって、出資して組合員となり、自ら事業を運営し、その事業を利用する営利を目的としない組織であり、利益は組合員に還元するしくみであることを説明しました。その他、労働者共済事業の設立にあたり、新潟大火(1955年)を紹介。誰もが「つぶれる」と思った時に労金や労働組合の援助を受けて、支払いが滞らなかったことが「今の信用につながっている」と、助け合い事業である所以も語りました。

 労働金庫、こくみん共済コープともに、事業体ではあるが非営利という側面を持ち、学生からは「利益はあげなくていいのか」などの質問があり、両者とも、それを見込んだ計画や対処をしていることを説明しました。また、近い将来社会人となるに当たって、それぞれの会社を進路の一つとして考えて欲しいと学生にアピールしました。

民間銀行とのちがいを語る菅原さん

労働金庫の成り立ちを説明する菅原さん

学生の質問に応える赤坂さん

学生の質問に応える赤坂さん