連合岩手と岩手大学の提携講座:第14回・第15回

2018年8月7日

〈第14回〉

7月19日「地域と労働組合」というテーマで、日本女子大名誉教授の高木郁朗さんが講義を担当しました。

 高木教授は、労働者の生活にはいろいろなリスクがあり、多段階のソーシャルセーフティネットが必要で、生活保護になる前に、雇用や就業に結び付けるようなしくみがこれからは重要であると言い、ある例をあげました。それは「介護のために仕事を辞める」という場合は、おカネの給付ではだめで、地域での支えと労働力という「現物給付」でなければ解決しないという例です。今まで、組合員の賃金や福利厚生を労働組合は担ってきたが、こうなると地域格差の解消と、地域での現物給付ができるかどうか、が重要になると述べられました。女性が働くだけでは社会を支えることは無理で、子育ては「男女でする」のではなく、「男女と社会が担う」が正しい姿ともおっしゃいました。そして、労働組合が地域組織をつくって活動する意味がここにあり、安心の地域性は「きずな(ソーシャル・キャピタル)」をもとに作られると強調されました。これからは、地域をよくすることが労働運動の課題となり、解決のために様々なネットワークを築きながら地方組織が活動してゆくだろうという期待を語っていただきました。

 学生からは、難しい、または実感に乏しいと感じる部分もあったが、現物給付の重要性や労働組合が地域課題に取り組む理由について、納得できるという意見が多く寄せられました。

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高木郁朗 日本女子大学名誉教授

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日本のセーフティネットの不備を指摘

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈第15回〉

7月26日「連合がめざす社会―『働くことを軸とする安心社会』の実現に向けた労働組合の役割と課題―」いうテーマで、連合本部副事務局長の南部美智代さんが講義を担当しました。

 南部さんは、最初に長時間労働だったり、裁量労働の職場だったり、まだまだ連合がめざす社会にはほど遠い現実があることを、家族の例を引いておっしゃいました。しかし、様々なデータや推計を示しながら、連合の提言する社会像に近づけて行かなければ、将来が「不安でたまらんやろ」と学生に訴えました。特に、団塊の世代が75歳(後期高齢者)になる2025年以降の推計は、人口・出生率・高齢化の地域差・健康寿命・年金制度・社会保障給付・少子化・女性就業率と保育所など、激変するだろうと述べられました。

 連合のめざす社会像はそのような観点から作られ、さらに次のビジョンを作成中で、その意見を国の審議会に行って発言し、何とか社会を変えたいと努力していることを紹介しました。審議会の決定過程についても丁寧に説明し、今国会の働き方改革については、時期がずれて答申された内容が一気に国会審議にかけられたため、「一部はよい、一部はだめ」というはっきりしない対応にならざるを得なかった、という悔しい思いを吐露されました。

 学生からは「連合が審議会に参加して実現したことはどんなことですか」「社会では、やはりまだ女性の役員が少ないが、どんな努力をすればよいと思いますか」という質問や、「裁量労働について、もっと詳しく知りたい」という意見などが出され、討論がかわされました。

 4月から15回シリーズで行われた今年度の提携講座は無事終了しました。お忙しい中講師をしていただいた方々、この講座を担当してくださった岩手大学人文社会学部・河合塁先生、そしてなにより熱心に受講していただいた学生の皆さんに感謝申し上げます。

 

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南部美智代 連合本部副事務局長

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豊富な政府・連合データで将来展望を示す