第88回岩手県中央メーデー 実行委員長あいさつ(連合岩手会長 齋藤健市)

2017年5月22日

第88回岩手県中央メーデーであいさつする齋藤会長

第88回岩手県中央メーデーであいさつする齋藤会長

 

 「8時間は労働に、8時間は休息に、そしてあとの8時間はわれわれの自由に!」1886年5月1日にアメリカの労働者が8時間労働を求めてゼネストに起ち上がり、そのことを起源として、第1回国際メーデーが127年前の1890年に開催されました。

 第88回岩手県中央メーデーの開催にあたり、実行委員会を代表し、ご挨拶申し上げます。

 本中央メーデーに、労働者、家族、市民の皆さんに参加いただきました。心からお礼申し上げます。また、公務多忙の中、久古谷敏行・岩手労働局長、達増拓也・岩手県知事、谷藤裕明・盛岡市長をはじめ、民進党、社民党、自由党の代表、組織内および推薦議員の皆さんをはじめ、多くの皆さんに来賓として、ご参加いただきました。ありがとうございます。

 さて、過酷な長時間労働から命と生活を守れる労働時間、労働環境の実現を訴えて立ち上がった労働者の思いは127年が過ぎた、今の日本において、残念ながら未だに実現していません。労働基準法では、使用者は労働者を「原則として1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはならない」ことになっています。

 しかし、電通社員の高橋まつりさんの過労自殺を象徴的に、全国で、そして岩手においても長時間労働による犠牲者を生み出しています。諸外国と比較しても、日本は長時間労働であり、日本の風土、企業文化などで済まされる話ではありません。長時間労働は、過労死や過労自殺、過労によるメンタル疾患をはじめ、労働者の心と体をすり減らす最大の原因です。岩手は、2014年では全国で労働時間が一番長い県でした。2015年では長い方から数えて5番目の県でした。長時間労働は、岩手として大きな問題であり、強い意志を持って長時間労働の是正を推進しなければなりません。

 長時間労働の抑制は、過労死の減少、健康の確保はもちろん、家事・育児といった生活の時間や、地域での活動時間を増やし、ワーク・ライフ・バランス、ディーセント・ワークの実現につながります。改めて、労働者が健康で安心して働ける労働時間、労働環境の実現を強く訴えたいと思います。

 労働組合はこの間、労働者の地位や生活を向上させるために運動、取り組みを行ってきました。しかし、現在の社会は格差が拡大し、働く者の生活が劣化、くらしが危機にさらされ不安が増大しています。

 内閣府の国民生活に関する世論調査では、悩みや不安を感じる国民は3人に2人となっています。さらに年収200万円以下の労働者は4人に1人、非正規労働者は2042万人で2.6人に1人。貯蓄を保有していない世帯割合は3世帯に1世帯。そして、子どもの5人に1人が、文房具代、給食費、修学旅行費用など、就学援助を受けています。

 このことは、市場経済主義・新自由主義の論理で政治や経済運営が行われ、労働者や国民が虐げられ使い捨てにされていることを、意味しています。雇用の劣化、労働の劣化は、格差の拡大、貧困の増加となって社会に、その歪が生じています。自己責任の理論で社会的セーフティネットも不備となり、非正規労働者だけでなく正規労働者にも生活の劣化が広がりつつあります。私たちにとって労働こそ生活の基本です。生活と労働が断ち切られようとしている今日の状況は、社会の成長、成り立ちを否定するものです。

 その要因である、市場経済主義・新自由主義の経済構造をつくり、地方の疲弊と格差拡大をもたらした自公政権の責任は重大です。公正な所得再配分を怠ってきた自公政権、それに企業利益と株主利益のみに固執してきた企業の社会的責任は重大です。

 日本国憲法では、憲法14条で「法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」、憲法25条では「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、憲法27条では「すべて国民は勤労の権利を有し義務を負う。」ことを謳っています。当然その実行責任は時の政権が問われるべきですが、この憲法の意味さえ、自公政権は理解しようとせず、逆に否定をしています。

 私たちは今、社会の富を生み出し、社会の主人公たる労働者が大事にされる「働くことを軸とする安心社会」への転換を強く求めていく必要があります。そのためには日常的に賃金引上げ、労働安全衛生の徹底、労働者の連帯強化など労働組合として基本的な運動を積み重ねるとともに、来るべき総選挙においては、推薦候補予定者の勝利を勝ち取らなければなりません。

 本メーデーを契機に、労働者の復活に向けた運動をさらに強め、公正と連帯の社会実現にむけて、非正規労働者も含めた連帯の輪を作り上げなければなりません。

 次に、4月27日、陸前高田のかさ上げ地域に大型商業施設「アバッセたかた」が開業しました。東日本大震災・津波で壊滅状態となった中心市街地の再生に向けた形が一つ出来上がりました。震災復興事業は、ハード部門は、多少の計画遅れがあったもののゴールが見えてきました。しかし、そのハードをベースとした「なりわい」や「被災者の生活再建」はこれからです。震災から6年が経過しました。昨年には台風10号の被害も起こりました。私たち岩手に住む労働者は、被災地、被災者が完全に復興するまで、ともにたたかっていかなければならないと思います。被災者全体を網羅するメンタル対策の強化、高齢被災者に寄り添うケアーのあり方、地域に根差した産業従事者の確保、水産業などの後継者確保など、復興への課題が改めて浮き彫りになっています。私たちにできる可能な限りの取り組みを、引き続き追求するとともに具体的な行動に移していきたいと思います。

 最後に、日本のメーデーは、1920年、第1回メーデーが東京・上野公園で開かれました。しかし、治安維持法の下で労働運動は弾圧され、日本が次第に戦争へとのめり込む中で、1936年に起きた「2.26事件」を契機にメーデーは禁止されました。

 第二次世界大戦後、メーデーは労働組合の復活とともに再び開かれ、日本の労働者の地位や労働条件の向上、権利拡大をはじめ、人権・労働基本権の確立、そして、民主主義の発展と恒久平和の希求に深く貢献し、その役割を果たしてきました。

今、安倍政権は、特定秘密保護法、安全保障関連法・戦争法を強行採決し、そして現在、テロ対策を名目とした共謀罪が国会で審議されています。第二次世界大戦前、日本は治安維持法を制定、国民を公権力により委縮させ、監視と管理を強化、そして戦争へと突入しました。日本人は、つらい教訓であったと認識すべきです。

 共謀罪は国民の内心にまで公権力による監視社会を押し付けるものです。時代の逆戻りを感じるとともにある種の恐怖を感じます。

 人は働くことで人とつながり、社会に参加できるものです。働くことが最も重要な価値である社会をめざさなければなりません。そして、それが可能となる最大の条件は「平和」です。私たちは、何が何でも、日本国憲法第9条で追求する「平和」を求めて、あらゆるむ行動をしなければならないことを最後に訴えて挨拶とします。

 

 第88回メーデー万歳。労働者の団結に万歳。